コロナ対策に飛沫拡散防ぐパーティション開発 レーシングカー部品製造経験生かす 東京・タマチ工業

2021年3月22日 06時00分
 レーシングカー部品などを製造する東京都品川区の中小企業、タマチ工業が飛沫の拡散を防ぐパーティションを開発した。製品化した太田邦博会長(75)は「ものづくりの力で、新型コロナウイルスにまだまだ『打つ手がある』ことを示したい」。製品は東京都目黒区に寄付され、近く始まるワクチン予防接種の会場に配置される見通しだ。(嶋村光希子)
 商品名は「ウィルキャッチ」。アクリル板の下部に設けたファンで上向きの気流を作り、会話時の呼気を押し上げる。静電気を帯びた不織布フィルターで上がってきた飛沫をキャッチ。ろ過した呼気をさらに上部のファンで押し出す仕組みだ。兵庫県立大大学院の実験で、アクリル板のみの構造より飛沫が広がりにくいことが分かったという。

飛沫拡散を防ぐパーティションを開発したタマチ工業の太田邦博会長=東京都品川区のタマチ工業で

 太田さんは、ひいきの飲食店の経営危機を目の当たりにし「コロナに負けたくない」と開発に着手。家族が作っていた料理の煙が換気扇に巻き上がる様子を見て、独特の構造を思い付いた。レース車両のエンジン部品を手掛ける本業とは異なるが、設計や組み立てに経験を生かすことができた。価格は税別9万8000円。
 ワクチン接種会場では問診や受付時の会話も予想され、太田さんは「飛沫の広がりを防ぎたい」と寄贈を決めた。タマチ工業が2台、同社の取引先で目黒区が創業ゆかりの地という城南信用金庫が6台、同信金と取引のある若手経営者らと、彼らが支援するレーシングドライバー坪井翔選手が7台を寄付。計15台が贈られる。

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